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2014/12/17
木のぬくもり、教室を包む 新設校舎の半数に
2014年12月17日付け 日本経済新聞
木のぬくもりを生かそう――。全国の公立学校で鉄筋コンクリート(RC)構造の内装に木材を使用する校舎が増えている。
壁や床の表面に木材を張って木造 風にする。各教育委員会は、木材の持つ優れた保湿力や「子供たちのストレスが和らぐ」という効果も期待。こうした動きは国内の林業振興につながるとして国 も後押ししている。
昨年8月に完成した埼玉県上尾市立中央小学校の新校舎。教室の床は木目が鮮やかなフローリングで、天井と壁の大部分も木材だ。
6年生の女子児童(12)は「前の校舎よりも明るくなり、優しい雰囲気がとても好き。勉強もはかどっている」と笑顔で話す。
上尾市は、築約50年の同小の校舎建て替えを2006年に決めた。
4階建てのため木造は難しくRC構造だが、約2200万円の追加費用をかけて室内を木造風にした。坂
巻政美校長は「教室が開放的に感じられ、子供たちの顔が明るくなった」と手応えを語る。
文部科学省によると、RC構造で内装に木材を使用する校舎は、13年度に新設された校舎1242棟のうち半数を占めた。
木材の様々な効果への期待も広がっている。
愛知教育大の橘田紘洋名誉教授が全国の273校を対象に実施した調査によると、インフルエンザによる学級閉鎖の1年間の発生割合は、非木造は6%なの に、木造は2%だったという。橘田名誉教授は「木材には高い保湿力があり冬でも乾燥しにくく、ウイルスの活動を抑えられるのではないか」と分析する。
埼玉大の浅田茂裕教授の調査によると、木材を使った校舎の方が「耳鳴り」や「目の疲れ」などのストレス反応を訴える児童が少なかったという。
浅田教授は 「コンクリートなどに比べ結露が少なく、廊下や階段でも快適に過ごせることがストレスを緩和している」と指摘する。
木造校舎を教材として生かす取り組みも始まっている。新潟県妙高市では地元産の木材を使って小学校を建て替えたのを機に、児童が伐採や植林を体験する授 業を09年度から行う。
市の担当者は「校舎に使われた木材が実際に産出される現場を見て、山林の大切さを学んでほしい」と話す。
文部科学省は、校舎建設に地元産の木材を使う場合は自治体に支給する建築費の補助額を5%程度上乗せしている。
また木材利用を促すため、全国の使用例をまとめた冊子をホームページで公開し「ノウハウを持たない自治体に参考にしてもらいたい」としている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO81004960X11C14A2CC1000/
全国に広がる 木の学校 木材利用の全国事例集 (文部科学省)