劣化と耐久性

木材の耐久性

 木材の生物劣化に対する耐久性は、一般的に抗菌性成分が多い心材部で高く、糖類やデンプンなど微生物の栄養源となる成分の多い辺材部は非常に低 い。そのため、樹種固有の耐久性は心材の耐朽性(腐り難さ)であり、辺材はどの樹種も一様に耐朽性は低いと考える必要がある。ヒバやタイワンヒノキの心材 部には抗菌物質として知られるヒノキチオールなどのトロボロン類が含まれており、これら樹種の耐朽性は非常に高い。
また、ヒノキにはテルペン類が多くクリにはポリフェノール類が多いため共に高い心材耐朽性を示し、このような副成分を多く含む樹種は一般的に耐朽性が高いと言える(表1)。
 

赤太文字解説
古来から日本人は住宅造りに木の特質を知り現在に至るまで土台にはヒノキやクリという木を適応させたのである。
そして柱材にはヒノキ、杉の心持ちの材を使うことが最も日本の風土に適した家造りの材と言っても過言はないでしょう。

表1 主な心材耐朽性

耐久性区分 日本産材 北米・欧州・豪州材 熱帯産材
 極大
(野外で9年以上)
    バウラ、
セランガンバツ、
ウリン、
チーク、
パンキライ
 大
(野外で7~8.5年)
ヒノキ、サワラ、
ネズコ、
ヒバ
コウヤマキ、
クリ、ケヤキ、
ホオノキ
ベイヒ、
ベイヒバ、
ベイスギ、
サイプレスパイン
ホワイトメランチ、
ゼンカドー、
マホガニー、
ボンゴシ(アゾベ)
 中
(野外で5~6.5年)
カラマツ、
イチイ、力ヤ
スギ、クヌギ、
ナラ、
シラカシ
ペイマツ
(マウンテン)、
ホワイトオーク
クルイン、
カプール、
ケンバス、
イエローメランチ
 小
(野外で3~4.5年)
モミ、アカマツ
クロマツ、
イチョウ、
コナラ、
アカガシ、
ヤチダモ、
キハダ
ボンデローサマツ
ベイツガ、
ストローブマツ
ヒッコリー、
オウシュウアカマツ、
ベイマツ(コースト)
カポックアピトン
レッドラワン、
ナトー、
マングローブ
 極小
(野外で2.5年以下)
トドマツ、
エゾマツ、
セン、
シラカンパ、プナ
イスノキ、
トチノキ、
クスノキ、
シナノキ、
イイギリ
ベイモミ、
スブルース、
アスペン、
ラジアータ
パイン
オウシュウトウヒ
アガチス、
ジェルトン
ラミン

(木材工業ハンドブック改訂4版(丸善)より抜粋、作表)

青文字の木材が
近年欧州から輸入され良く使われる様になったホワイトウッドの集成材の基の木です。
下の画像は外部に同じ条件で4年半放置した状態です。

木材の耐蟻性

 木材のシロアリに対する抵抗性(耐蟻性)は、材の硬さと心材の化学成分が関与している。代表的な抗シロアリ成分には、サポニン類やサイプレスパインに含まれるL-シトロネラ酸、ヒノキのアルファ-カジノールなどがある。表2に主な樹種の耐蟻性を示す。

シロアリに対しても国産材・青森ヒバ、ヒノキ、スギ が抵抗性の強さの分類に在位しています。
高温多湿 雨の降る割合が多い日本では日本で生まれ育った日本の材木(国産材)を使用した家造りが賢明である事を知り得られるデータだと思います。

表2 主な樹種の耐蟻性

耐久性区分 日本産材 北米・欧州・豪州材 熱帯産材 欧州産材
ヒバ、コウヤマキ、
イヌマキ、スダジイ、
ピャクシン、
イスノキ、
カヤ
  タイワンスギ、
クルイン
ボンゴシ、
プビンガ
ドウシエ、
イロコ、
ロースウッド、
シタン、
チーク、ブビンガ
 
ヒノキ、スギ、ツガ
カラマ、スクスノキ、
イタヤカエデ、
カツラ、
ケヤキ、
ブナトチノキ
イチイガシ、
アカガシ
ベイヒ レッドメランチ、
ナトー、
イエローメランチ、カメレレ、ジャラ、ラミン
 
モミ、シラベ、
エゾマ、ストドマツ、
アカマツ、クロマツ、
クリ、セン、カキ、
ミズナラ、ドロノキ
ベイスギ、
ラジアータパイン
(ホワイトウッド)

ベイツガ、
ベイマツ、オーク、
ヒッコリー、
アスペン
アブリカンマホガニー、
バルサ、
ホワイトラワン
サペリ、
マンガシノロ
オウシュウアカマツ、
オウシュウトウヒ、シベリアカラマツ

(木材工業ハンドブック改訂4版(丸善)より抜粋、作表)
【参考文献】
1)「木材保存学入門改訂2版」(社)日本木材保存協会、P.69(2005)

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